さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
次の日。

わだかまりが少し残っていたが、元気に、少なくとも元気な振りをして、店に出た。



ドアが開いた。

「いらっしゃいませ」と言おうとしたら、

キャン! キャン!

甲高いイヌの鳴き声にぎょっとする。

白いチワワを抱いた女の人がケーキのショーケースに近寄ってきた。

「えーっと……」
その女性はケースを眺めて迷っている。

「チョコ・ケーキと……
フルーツ・ケーキと……
シュークリームを2個ずつ」

「はい、ありがとうございます」

いつもと同じようにケーキを包んだ。

女性は、お金を払い、おつりをもらい、ケーキの包みを片手で受け取った。

そして、チワワを抱いたまま、器用に肩でドアを開けて出て行った。

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