さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「だめだ。だめだ」

「なんで~」


「だめだったら、だめだ」

「なんでったら、なんでっ?」

父は、ごくりと音をたてて、茶をもう一口飲んだ。
 
「金が、ない」
(うーん、そうきたか)

「じゃ、あたしの貯金から出す」
(これで、文句はないでしょ)

「貯金? いくらある?」

「20万は、軽くあるよ」
(すごいでしょ)

小さい頃から今まで、お年玉やおこづかいを、こつこつと貯めてきた。

汗と涙の結晶だ。

父は、にやりとした。

「20万? おう、貸してくれ」

「はい?」
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