さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
  
また、炎天下を歩いて店にもどってみると、両親が心配して並んで店の前に立っていた。

「ああ、よかった。遅いから心配していた」

「ごめん、ごめん、実ははね……」

急いで店の中に入り、かいつまんで、春子さんの一件を話すと、

父は
「へえ、城之崎先生、オレのことを覚えてくれていたんだ」

「え? 先生?」

「城之崎先生は、オレの中学校の音楽の先生だった。
先生が、ケーキを買いに来てることは、知っていたけれど、担任ではなかったから、オレのことは分からないだろうと思って、話しかけたりはしなかった……」

父は、なぜか頭をかいて苦笑いをした。
きっと、コイツはいたずら坊主で、先生を困らせたんだろう、と思った。

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