さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
その3日後だった。

親子が来た。他に客はいなかった。

父にも知らせて、厨房から店内を監視してもらった。

厨房からだと、クッキーが置いてある場所がのぞけるのだ。

しかも、店からは重蔵が見ている姿は見えにくい。


母親がいつものように、モンブランを買った。
会計を済ませて、出て行く。


「見たぞ。あの子が、クッキーをかばんに入れた」

父は真っ赤な顔をして早口で言った。

「あたしも、見たよ」

あたしは急いで親子の後を追った。母も後から来ている。

子どものもとへ駆け寄った。

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