花に想いを。
ハナミズキ
「……あの女…」

波南は歩きながら独り呟いた。

同居中の彼女に

『何でもいいからお花買ってきて』

と懇願され、仕方なく使いを買ってでたのだ。

今日の朝、花が枯れてしまっていたせいだ。

生け花の寿命?なんだそうだが。

花がないとどうしても落ち着けなくて仕事に集中できないらしい。

で、原稿が締め切り近いから自分では行けないんだとか。

因みに、彼女の職業は『草花評論家』。

最初に聞いたときは、なんだそりゃと思ったもんだが。

ずーっと家の中に引きこもってパソコン打ってる。

その癖に収入は俺と同じレベル。

泣くぞ。

大体どこが給料出してんだよその仕事。
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