花に想いを。
勢いに呑まれて

「う、うん」

と頷くと、ちょうどチャイムが鳴った。

慌てて自分の席に戻る。

…って…

『ありがとう』はこっちのセリフだったんじゃない?

だって、日誌の仕事は1~6時限の教科と単元を書くだけ。

絶対に黒板消しの方が面倒くさいし重労働、だよね。

なんか優しい…の?

ちらと彼の方を見てみても、素知らぬ顔して先生の話聞いてるし。

そんなさりげなく優しくされたって、わかんない。

ふう、と溜息を吐く。

ホームルームが終わる。

すると、後ろの席の友達が寄ってきた。

「リリさー、さっき海士くん見てたでしょ」

なんて耳元でこそっと呟かれる。

「え?」

と目を丸くすると、ニヤニヤと笑われた。

「後ろの席だとね、頭の動きがわかるんだよー」

げ…ばれてた?
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