【短編】いつも側に
夕陽に照らされながら私は走った。
てか、今日走りっぱなしだしとか思ったりもした。
『…っ、はぁっ』
゛千夏を泣かせて何なの?゛
『…っ』
゛お前のせいで俺らがこうなってるのがわかんないの?゛
『わかってるよ…っ』
立ち止まり涙を手でゴシゴシと拭いた。
わかってる。
自分の醜い嫉妬で拓真の大切な千夏を泣かせたから、だから怒ってるんだ。
少し冷たい横風が頬に叩きつける。
『ここ…』
風の流れていった方を見ると、見覚えがある小さな河原。
『あ』
そうだ、小さい頃よく拓真と遊んでた河原だ。
昔と変わらぬ姿がそこにはあった。