理想の都世知歩さんは、
衵に『都世地歩さん、好き?』と問えば、迷わず素直に『好き』と答えるだろう。
相手が“都世地歩さん”じゃないから。
一番伝えなきゃいけない相手に云わないで、どうしろというの?
でも都世地歩さんにも好きなひとがいるような感じだったから、誰も責められないな…と悶々としつつ他愛のない話で盛り上がったご飯の後、逆方面の衵と別れて、駅前大通りから帰路についていた。
本人はすっきりした顔してたけど、私は全然すっきりしないよ!
そう叫びたさに拳を握った時、信号の向こうを歩いて行く見覚えのある三人を目にした。
暗がりでも中々に目立っている…けどあれ、都世地歩さんと、え?袿くん?と、最低最悪デコ噛み金髪野郎じゃないか!!?
え、何!?
どういう組み合わせ!?
仲良しなわけ!?
「……?」
取り敢えず、尾行しよう。
――三人は、某焼肉店に入った。
私は上手く後をついて行って入店した。ニット帽被っていて良かった。焼肉店が二階で良かった。階段で。
袿くんと最低最悪デコ噛み金髪野郎が話している間に都世地歩さんが記入欄に名前を書こうとボールペンを手に取ったところで、奥から男性店員さんが出て来た。
私は、其処に向かって影から駆け出す。
「お待たせ致しました、何名様ですか?」
「あ、三「四名です!!」
「へ」「は?」
「え、あれ衵の友達の…「二雲です行きましょう」
「…四名様ですね。こちらへどうぞ」