理想の都世知歩さんは、
四人席に案内されると、初めに最低最悪デコ噛み以下略が偉そうに奥に座った。
口を噤む都世地歩さん。
「ええと、二雲…座る?」
昔から顔馴染みの袿くんに言われて固く頷く。
「は?何で?誰」
「私この人の顔極力見たくないんで、煙が目の前に立ちはだかってくれるようにこの人の向かい側に座りますね」
「…?律と二雲、知り合いだったの」
「「違うけど」」
「えー。どっち」
苦笑しながら袿くんは私の右隣に、都世地歩さんはその向かい席に腰を下ろした。
「肉を焼かないと煙が立たないので肉頼んでいいですか」
「っていうか二雲は何、どうしたの」
チェスターコートを脱ぎながらもメニューを手渡す袿くんは問うた。
受け取って注文を始める私は落ちてきた後れ髪を耳に掛け直して、応える。
「はぁ、都世地歩さんに聞かないと夜も眠れそうにないことがあって」
「……」
ちらりと様子を窺うと、都世地歩さんは凄い顔をして驚いているようだった。
凄い顔って、まぁこの先は本人の言葉を聞けば分かりそう。
そういう顔をするってことは少なからず心当たりがあるってことだろうし、ね。
「え、……何で袿と律まで黙って」
「…」
「…」
ああ、そういうこと。
皆それぞれ、違う場面で気付く切欠があったんだ?