理想の都世知歩さんは、




そんなの、分かってる。

つもりだったし、正直、今言われてはっとした部分もあった。


多分こいつは、衵の気持ちを大事にしたいってことは、都世地歩さんを想った衵の気持ちも大事にしたいってことなんじゃないのって云ってる。


「分かってるけど…」


小さく呟く。


「衵が、好きだって言ったひと。だけど、衵に言えることも言えないようにした人でもあるじゃん…そ、その人がもう素晴らしい人っていうのも分かってるけど」



ん、と横で頷いた袿くんがくすりと笑った。



「はー。分かってるんだ?その人が『素晴らしい』って」

「ウン。だって衵、凄く褒めるよ。家事全般当たり前みたいに出来るとか、でもそれを驕ったりしないんだとか、内面的にね。考え方が綺麗だって、凄いって」

「あー、俺も聞いたわ。髪質だとか目だとか」


最低最悪野郎がそう言ったところで、お酒と一緒に肉も運ばれて来た。

テーブルに回している最中に店員さんが着火していて、立ち去った後続けて袿くんが口を開く。


「へぇ。俺も衵がこっち住んでる間色々聞いたよ、パンツの柄も知っ「モウヤメテ…」


「あれ宵一、もう酒飲んだの」

「飲んでないから…」

ニヤーとした最低最悪野郎に代わって頬杖をつく袿くん。

「じゃあ、顔真っ赤だけどどうした?」

「どうもしてないから…」


ほー。


弄られる都世地歩さんのことは、衵からも聞けないなー。流石男子(会)。





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