理想の都世知歩さんは、
三人の視線が都世地歩さんに集う。
彼は僅かに陰った目元さえ真赤にして俯きかけていた。
そのまま様子を見たが彼もまたそのまま動かず、痺れを切らした最低最悪野郎が口を開いた時突然、目の前にあったお酒を引っ掴んだ。
「へ、宵…っ」
袿くんの声も届かず、都世地歩さんは目にも止まらぬ速さでジョッキに口を付ける。
ごく、と喉が啼いて、お酒は回る。
うわぁ一気だ、調子に乗った若い人がやっちゃいけないイッキだと目を丸めた時には遅かったらしい。
チラ、と目の前を見ると最低最悪野郎もギョっとした顔で隣を見ていた。
あれでもこいつって大学生なんじゃないの。
そういえば私も大学生だ、見たことくらいあるわ。
大きな音を立ててテーブルに戻されたそれ。
都世地歩さんは、ただ肩で息をしながら口元を拭った。
「ちょお、大丈夫!?」
……ああ、イッキの方じゃなくて都世地歩さんが珍しいのか。
案の定、ぐらりと手前に傾いた身体。
「ん」とだけ唸った都世地歩さんはそこから暫くの間動かなかった。