理想の都世知歩さんは、
は、と息を吐く姿が何だか妙に色っぽくて心臓が掴まれる。
顔を上げる袿くんを前に、彼は何処を見つめているのだろうか。
物憂げだった。
「……す、」
「「「す?」」」
そこまで言って、口を噤む。
恐らく三人ともが何だよ!!と心の中でツッコんだであろう。
もう一度薄く唇を開く都世地歩さん。
悩ましげな声で、言葉を紡いだ。
「……すっごい可愛いから、――衵が」
「「……」」
「え!?!?」
一人、膝裏をソファの角にぶつける勢いで立ち上がった私。
袿くんがそれをちらりと見上げた。
「今日も、肉じゃが作ってて」
都世地歩さんが言葉を繋いだため、私は都世地歩さんから一秒たりとも目を離さず席に戻る。
先の言葉が気になって仕方がない。
「すごい首の後ろ、真赤にして、隠そうとして」
俯きかける都世地歩さんの眸は袿くんが迷惑かと聞いた時のまま『何で?』と問うているのに、今度はその質問を自分に投げかけているように思えた。