理想の都世知歩さんは、




「衵、俺も“す”が付くやつ言いたいんだけど」


「え!アッえ!!ど、どうぞ言っ……言ってくれるんですか!?」

「うるさい」

「…」


黙ると、都世地歩さんはぐっと距離を縮めた。


びく、と跳ねる肩を抑え込むように都世地歩さんの心臓に耳が触れる。



……あ。


都世地歩さんの心音、今私のと同じくらい速い。




「…………」

「まだですかまだですか」

「うるさい」

「…」


「…………、…………すごい、好き」




「!!!!!!」


危ない、今、私、一瞬心臓止まっていた。

何なの。一体何なの?



「ととと都世地歩さんって案外魔性ですよね」

「俺そんな“と”多い苗字じゃないんだけど。あとキスしたい」

「キ?」

「うん。いい?」
「だめ」

「は?」


自分でもよく解らないテンションで迫って来る都世地歩さんから逃れようと身体を離す。

いつの間にか体制逆転しているのは何故。





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