理想の都世知歩さんは、
「あ~~~~ッ」
「!?」
突然、ぐらりと。
背凭れに体重を掛けて頭を仰け反らせた彼に驚いた。
「心配」
天井に零されたひとこと。
「何がですか」
「何でもない」
「はぁ」
「……三日間くらい居ないから」
あ、今。
ちょっとさみしいと思った。
「…」
「…」
「…テレビ」
「はい」
「テレビ観たかったら、部屋勝手に入っていいよ」
それに、こくんと頷いた。
「寒かったら、掛け布団も持ってっていーよ」
「はい」
握りしめた布巾の上で、思わず笑みが零れた。
上を向いている都世知歩さんは当然それには気が付かなかったけれど。
――五月最初の休みの日のこと。
明日家を空けると言った都世知歩さんが、真夜中。
トランプと掛け布団を抱えて部屋を訪ねてきた。