理想の都世知歩さんは、
「…。…急ですね」
「おう」
酔っぱらってんのかな。
思わず隙間を開けたドアから顔を出して鼻を利かせてみるも、お酒の香りはしないから素面らしい。
「どうしたんですか突然」
「衵、寂しいかと思って」
「三日間くらい大丈夫、家は私が守るから安心してください」
気遣いに、にへら、と緩む頬で見上げる都世知歩さん。
怪訝な表情は変わらないし、肩に担がれた掛け布団を下ろす気配もない。
「…やっぱり心配ですか」
「…」
黙る都世知歩さんの変わらない表情の方が心配だ。
一体何を心配してくれているのだろうか。
「ペットか娘くらい心配」
ペットか、娘?
思わずぽかんと口を開けた。
そのまま乱暴に乾かされた彼の髪に目をやっていると、言葉に詰まった様子の都世知歩さんは白い首筋に手をやった。
「何でもいいから。心配なんですよ」
「……、…」
体を退けて、部屋に通すしかなかった。