理想の都世知歩さんは、
結局彼は、私の欠伸が滲むまで付き合ってくれた。
「ねる!」
都世知歩さんも充分眠たそうな目で、ふざけ半分に私の肩を押す。
ころんと布団の上に転がった。
電気。と天井からぶら下がる眩しさに目をやると、立ち上がった都世知歩さんが消灯。
うとうとしていると、
「おやすみ」
と聞こえて。
閉じかけた視界の代わりに、柔軟剤が香ったので瞼を持ち上げた。
「……うぇ」
漏れた声は、隣で転がった都世知歩さんに対するものだ。
当然の如く掛け布団を被った後、すやすやと寝息をたて――――しかもこっちに顔を向けたまま。
勘弁してくれ…。
流石に自分の部屋に帰れという冷酷さも気力も眠気に劣っていた私は、せめて彼の肩をぐい、と押した。
「うっせえ」
ばし、と手を払われた!
「いつもこっち向いて寝てるから…」
嘘だ。
嘘吐き!!いつもは変な、俯せみたいな寝方して寝癖つけるくせに!
けれど、もしかして都世知歩さんが寂しかったんじゃないかと疑う頃には諦めて、私も隣で深い眠りに落ちていた。
目が覚めた時。
もう、都世知歩さんは隣には居なかった。
ただ。
私の掛け布団が一枚増やされていて、「嘘吐き」って。
「朝早かったんじゃないですか」って。
一人ぼっちになった部屋で呟いた。