BULLET for MY VALENTINE
私は何をした訳ではない。

ちょっとした助言をしただけだ。彼の背中を押しただけに過ぎない。


だがそれだけで、世界は変わった。変えられたのだ。

こんなことを言う資格はないのだろうが、きっとこれは愛なのだ。



この知らせを聞いた時、私はなぜだかとても気分がよかった。

たまには愛を思い出すのも悪くない。だから機会があれば、私が人であった頃の話を、悩む若者に話していこうかなどと思うようになった。

あとどれ程生きられるかわからないが……死ぬまで愛を語りたい。


愛を語れるということは、それは多分、とても私にとって、幸せなことなのだろう。




最後に。

あれから一年経ったが、風の噂で隣の村に若い夫妻が越してきたらしい。

農作業には不慣れらしいが、毎日を楽しくやっているらしい。

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