BULLET for MY VALENTINE
「さあ、何の話がいい?」

「えっとねぇ………あっ、これ!!」


息子が指差したのは、テレビに映る兵隊の姿だった。

「パパ、へいたいさんて何?」

「何って……どうして知りたいんだ?」


彼は一瞬口ごもり、悩んだ。息子が兵隊に興味を持つなんて。あまり、いい傾向じゃない。

さりげなく、彼はテレビのチャンネルを変えた。

「ええっ、何で変えちゃうの?かっこいいのに!!みんな言ってるよ?もうすぐみんなへいたいさんになるんだって!!」


「格好良い…か。どうして?」

「だってみんなを守ってくれるもの!!」



息子の顔は、希望に満ちていた。兵隊はみんなを守る。そんな事を信じて、頬を紅潮させて彼に笑みを向けた。


そんな妄想に身を預けて。


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