BULLET for MY VALENTINE
「兵隊さんはね、そんなに格好良くないんだよ」


「ええっ嘘だあ!?」

明らかな不満に彼は苦笑した。分からなくはない。彼自身も最初はそうだった。

「パパ、へいたいさんは僕達を守ってくれるんでしょ?スッゴイかっこいいよ!!」


「そうだな。…確かに格好良いかもしれないな。でも守るだけとは限らないんだよ?テレビに映ってた兵隊さんは……悪い人なんだ」

「わるいひと?」


「この戦争はあの兵隊さん達が起こしたんだよ。あんな風に見えると格好良いかもしれないが実際には……人の命を奪う悪い人なんだよ」


「うーん……よく分かんない」


少々ふてくされさせてしまったようだ。息子は頬を膨らましてしばらく寄りかかっていたが、ふと思い出したように彼を見上げた。

「ねぇパパ、パパが兵隊さんだったって、本当?」


彼の顔が一瞬、険しくなった。

「…誰がそんなことを?」

「え?ママだよ?」

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