BULLET for MY VALENTINE
「ママが?」

「うん…ねぇ本当?」


「………ああ。本当だよ。私は戦争を…体験した」


「どうだった?」

息子にとっては他愛ない質問だったのだろう。が、それは彼を追い込んだ。


どうだった、か。



地獄だった。そうとしか、言い様がなかった。煙の灰色と、葉の緑と、土の茶色と、何より血の赤でできた世界。


彼が結婚したのは22の頃。軍に志願したのは23。約7年間、彼は戦場を駆け回った。


最初は震えっぱなしで、

次は少し銃を撃って、

その次は滅茶苦茶に乱射して、

狙うようになって、

はっきりと人を殺した感触が分かってきて、



気が付けば、彼はOVERKILLERの異名を持つ英雄になっていた。

一般人も何人も殺した。拷問もした。口に出すのもはばかれるような、へどの出る行為も、やりはしなかったが……傍観していた。

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