BULLET for MY VALENTINE
「パパ……パパ!!」


ハッとして息子を見ると悲しそうな顔をしていた。幼いながらも彼から何かを感じ取ったらしい。

「パパ大丈夫?ボク悪いことしちゃった?」


「いいや、なんでもないよ」

慌てて笑顔を息子に向ける。作り笑いだが、息子は和らいだ。

「…ホントに?」

「ああ」

そう言って息子を羽交い締めにして、くすぐる。キャッキャッと悶えながらも喜ぶのを、彼は目と心に刻み込んだ。



この子には関係ない。

そう、なんでもないんだ。



なんでも、ないんだ。

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