彼とバスケと私
第3クォーターが終了し、試合に出ていた選手がベンチに戻ってくる。
マネージャー4人で素早く飲み物とタオルを手渡し、他の選手がうちわで試合に出ていた人達を扇いでいる。
「あの……、ちょっと言ってもいいですか…?」
気になったことがあったので、せっかく気づいたんだから言おうと思った。
「いいよ」という和也先輩の声を聞いてから、話し出す。
「点を決める人が片寄ってしまっています。
リング下のシュートを翔樹が。スリーなどの長距離のシュートが慧先輩。
この2人が、この第3クォーターの得点をほぼ獲得しています。
もちろん、点は十分に取れています。
でも、この2人がマークされたりしたら得点が大幅に減ってしまいます。
大和先輩はいいアシストをしていますが、自分でもいける時もありました。
あくまでも自分で攻めることも忘れずにお願いします。
奏先輩はディフェンスは凄くいい動きをしていますが、オフェンスでドリブルで攻めるというのはほとんどしていません。
そうなると、パスを読まれやすくなるので、攻めることを忘れないでください。
隆斗先輩は凄く攻めてます。
でも攻めすぎて相手に囲まれてボールを奪われることが多いです。
周りと合わすことも視野にいれて、攻めるようにしてください」
たった2分しかない休憩。
その時間を貰ったんだから、ちょっとでもいいアドバイスをしたい。