彼とバスケと私
チャイムが鳴り、先生が教室に入って来たのでおしゃべりは中断。
助かったと少し思ってしまったことは佐江にはナイショ。
怒られちゃうからね。
HRが終わり、1限目は移動だと知り佐江と2人で歩き出す。
「1限目からあのおじいちゃん先生の授業かー。
絶対眠たくなるわね」
「本当だよね。
佐江が寝そうになったら起こしてあげる。
後ろの席だからね~」
「ほんと?助かるなー」
あのおじいちゃん先生の授業は本当に眠い。
声のトーンは一定で、年も年だから声はあまり張らないんだよね。
だから寝る生徒が続出するんだ。
「お、美由」
聞き覚えのある声。
「和也先輩!おはようございます」
「おはよ。移動教室?」
「はい。そうですよ」
「そっかそっか。頑張って。
じゃあ部活でな」
「はい」
少し話すと、笑顔で私の頭をポンポンと軽く叩いて去っていった。
「ねぇ、和也先輩って…バスケ部のキャプテンさんだよね?」
佐江の問い掛けに、「うん」と答える。