彼とバスケと私
「やっぱり…」
救急箱から湿布を取り出して貼りながら、翔樹に言う。
「明日大会だから、絶対練習抜けたくなかったんでしょ」
怪我したことを知られれば、試合に出れる確率も減ってしまうし。
「美由、そこまでお見通し?
……そうだよ。3年生といっぱい一緒にプレーしてたいしさー」
「そうだと思った。
でも無理しちゃダメだからね?
帰ったら絶対に冷やすこと。寝るときは湿布はること。わかった?」
「わかったよ。
てか美由、お母さんみたい」
なんて言って笑ってる翔樹。
「そんなの言ってたらもう心配してあげないよ?」
「ごめんごめん。
美由はお母さんじゃなくて、俺の彼女だもんなー」
おでこをコツンとくっつけてニヤッと笑いながら言う翔樹は、絶対私をからかってる。
そうわかってはいるものの、顔が赤くなってしまうのは防げなくて…。
それで、翔樹は満足そうに笑うんだ。