彼とバスケと私
「和也先輩も言ってたように、心配するようなことは何もないよ。
………私が好きなのは…………その……翔樹…だし…」
恥ずかしくて、最後につれて小さくなっていってしまう。
けれど、これは伝えておかないといけないかなって思った。
このまま誤解されたままなんて耐えられないし。
「私は、翔樹以外は見てない」
ぐっと俯いて、小さな小さな声で伝える。
すると、急に翔樹に腕を引っ張られ立たされる。
「和也先輩、ちょっと抜けますね」
「おー。どうぞごゆっくり〜」
え、ちょ、はぁ!?
待って待ってどうなってるの!?
和也先輩もそんな呑気にニヤニヤしてないで!
思考が追い付かないまま、翔樹に引きずられ部屋を出ると、さっき和也先輩と話したスペースまでやってきた。
「え、えと………しょう、き…?」
遠慮がちに呼びかけた瞬間、翔樹に引き寄せられ、抱き締められる。
「あんなとこで可愛いこと言うなよ…。
こういう風に出来ないだろーが」
耳元で囁かれる声と言葉は、とても甘い。
甘すぎて恥ずかしくて、思わず逃げ出そうと体を捻るけど、逃がさないとばかりにガッチリと腕を回されていて動けず…。
結局、赤面した顔を翔樹の胸に押し当てるしか出来なかった。