彼とバスケと私
職員室に鍵を返してから、2人帰り道を歩く。
翔樹はずっと明るく話しているから、会話も途切れることなくどんどん進む。
気づくともう私の家の前。
「あ、私の家ここ。
本当にありがとうね!遅いのに送ってもらっちゃって…」
「気にすんな気にすんな。
女なんだから、夜は危ないから1人で帰す訳ないだろ」
そう頭をポンポンしてくる翔樹。
「じゃあな」
と歩き出そうとする彼を、思わず呼び止める。
「ま、待って!」
だって、あのお礼言ってないし…。
「私にだって実力があるって、言ってくれてありがとう。
おかげで自信ついたよ」
きっと今、私は微笑んでるんだろう。
自然と、笑顔になっているのがわかる。
それだけ嬉しかったのかな……。
「あたりまえの事言っただけだから」
「でも嬉しかった。ありがと!
あ、今度翔樹の苦手なシュート見てあげる」
「お、まじ!?楽しみにしてるよ。
……じゃあな!」
と手を振って、また歩き出す翔樹。
「気をつけてね」と見えなくなるまで見送ってから、私は家に入った。