初恋は雪に包まれて
「とんでもなく毒舌だったな。」
「ふふ、うん、いつもはそんなに酔うことはないんだけどね。」
パーティー会場となった同僚の家から、コンビニまでは歩いて十分程だった。
そこでお酒やおつまみをいくつか購入し、今は再び家に戻るためにゆったりと歩いている。
吐く息が白く消えていく。
冷たい空気が肌を刺す。家から出た直後はそれが気持ち良かったものの、やっぱり時間が経てば冷えてくる。
だけど、それは決して苦痛ではないのだ。
だって。
私の小さな歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれる彼の優しさや、重たいコンビニ袋を私に渡すまいと持ってくれるところ。
外は寒いからと、私だけに温かい飲み物をこっそりと買ってくれていたこと。
そんな彼の優しさが、心をほっと温かくするから。
……あぁ、もう少し近づきたいな。
歩くとたまにぶつかる肩がくすぐっくて、そんなことを思ってしまうのは冬のせいだからだろうか。
「どうした。」
疲れたか?、と眉を下げて私の顔を覗きこむ。そんな彼に首を振る。
「ううん、……ちょっと考え事。」
私の言葉に相槌をうつと、彼は再び正面を見た。
彼を、ちらりと盗み見る。
……やっぱり私、ちょっと酔っぱらっているのかもしれない。