初恋は雪に包まれて
「なっ……なにっ……」
私の体は、もう石になったように動かない。
彼の手は未だ私の顔を包んだままで離そうとはしてくれない。至近距離で目と目があったまま数秒が経った。
そんな状況に伊東くんはまた小さく笑うと。
彼はそのまま顔を近付けて――
チュッとかわいい音をたてて彼の唇が触れたところは、私の唇のすぐ左側。
唇と唇がギリギリ触れないところに、彼は一つキスを落とした。
「な、な……っ、」
なんてことを!
言葉にならない言葉を発する私の頭を、伊東くんはくしゃりと右手で撫でた。そして、衝撃的な言葉を口にした。
「こうすれば、嫌でも俺のことしか考えられないだろ。」
「えっ……、」
「これからゆっくり考えろよ。待っててやるから。」