初恋は雪に包まれて
結局、「全て吐きなさい。」と女王様のような口調で促された私は、この前起きたあの事を事細かに話してしまった。
あのキスのことも、だ。
「……やっぱり信じられない?」
「……あの伊東くんがねぇ……」
おしぼりが入っていたビニール袋をマニキュアが綺麗に施された指で遊びながら私の話を聞いていた夕ちゃんは、とても信じられないという表情を隠しきれていない。
「……想像、つかないよね。」
「うん。だってそんなキスまがいなことしちゃうなんて、あの伊東くんじゃなかったら訴えられてるわよ、きっと。」
訴えられる……。
そうなんだ、一気にたくさんのことが起こりすぎて何がなんだかわからなくなっていたけど、私あんなことされちゃったんだよなぁ。
キス、といっても、ギリギリ唇と唇が重ならない場所。でも外国の人がするような、ああいうフランクなものとは当然意味が違っていて。
……もう、顔が熱い。