初恋は雪に包まれて
だからてっきり夕ちゃんは、どちらかと言うとほんわかとした暖かみのある男性が好みだと思っていたのだけれど、そんな彼女さえも彼がお気に入りらしい。
……恐るべし、伊東くん。
ようやくペスカトーレを食べ終えた私をチラッと見ると、夕ちゃんはメニュー表を手に取った。
可愛らしい手書きで書かれたデザートの文字が並ぶのページを開くと、「食べちゃおうかなぁ。」と呟いた。
「でも今ダイエット中だしなぁ。」
「夕ちゃん、十分細いのに何言ってるの。」
「んー、日和見てるとガリガリに痩せてるより健康的な方がいいかなって思うんだけどねー。」
……どういう意味だろうか。
確かに私は痩せ方ではなく、まさに健康的とで、まさに平均的な体型だ。
……こう思うとどうして伊東くんが私を選んだのかが更にわからなくなる。