初恋は雪に包まれて
もう一度鏡でチェックしたところで、スマートフォンが震えた。
胸がドキン、となる。
【ついた】
なんともそっけないメッセージだ。
でも逆に彼が絵文字たっぷりの可愛らしいメッセージをくれてもびっくりしちゃうよな、と考え、少しだけ笑みが漏れた。
アパートの前には黒の大きな車が止まっていた。
車に詳しくない私にはなんという名前かはわからないけど、
四角くて背の高いこの車は、ファミリー向けの車としてコマーシャルで宣伝されているのを何度か見たことがある。
助手席の窓を軽くノックすると、伊東くんは運転席から手を伸ばしてそのドアを開けてくれた。
「はよ。」
「おはよう。ふふ、もうお昼だけどね。」
私の言葉に小さく笑った彼は、なにかボタンを弄りながら「寒いか?」と尋ねる。
「ううん、大丈夫。ありがとう。」
「ん、じゃあ行くか。」
彼はそう言って、ゆっくりとアクセルを踏んだ。