初恋は雪に包まれて
「どうした」
「えっ?」
「酔ったか?急に黙るから。」
……あぁ、そういうことか。
伊東くんがあまりに話しやすいから、ついついお喋りに夢中になってしまっていて。
私は運転したことがないからわからないんだけど、もしかしてこれって迷惑なんじゃないかなぁ、と考えていたのだ。
ほら、運転って集中しなきゃなんでしょ……?
そう言うと彼は少しだけ目を見開いて、すぐに眉を下げた。
少し困惑したような、そんな表情をすると「そんなことない。」と困ったように言った。
「そんな気を遣うなよ。」
「……でも、乗せてもらってるのに。」
「俺、話しかけられただけで事故るような、そんな運転下手なやつに見える?」
……まさか!伊東くんの運転は、想像通り上手で、乗り心地も最高なのに。
そんな思いを抱えて、否定の意味を込めて首を思い切り振る。
そんな私を見た伊東くんは、小さくフッと笑うと、「じゃあいつも通りにしてろよ。」と言った。