初恋は雪に包まれて
雪が降る午後10時20分。体は冷え、指先は悴む。なのにそれとは反対に、私の顔は火照る一方だ。
「引っ掛かりそう……」
「アイツに……田嶋に誘われてただろ。」
再び伊東くんと目が合った。
確かにそうだ。今日は久しぶりに馴染みの居酒屋に集まって、同期会をしていたのだ。
そこにはもちろん伊東くんもいて、そして田嶋くんもいた。
田嶋くんは、明るく誰とでも隔てなく仲良く出来ることができるなんとも羨ましい性格で。
そう言えば聞こえはいいものの、なんというか度が過ぎているというのか、要はとても軽いのだ。
ちなみに入社して約1年、私が知るだけで彼女が5回も変わっている。
「でも誘われてたって言っても、ただDVDを見ようって言われただけだよ?
ほら伊東くんも知ってるでしょ?私があの俳優さんのファンなこと。」
確かに田嶋くんには"誘われた"のだが、そこに変な意味は無く。
私がまだ見ていないDVDを彼が入手したというので、じゃあ彼の家で一緒に見ようということになったのだ。