初恋は雪に包まれて


えっ、同い年?と本気で驚く廣田さんに、苦笑いをする。

こういった反応は初めてではない。

特に童顔というわけでもないけれど、何故か初対面の人には実年齢よりも幼く見られることが多い。

未だにお酒を購入する時は、年齢確認をされる程だ。



「ごめんね、俺てっきり年下だと。」

「いえ、……よくあることなので。」


残念なことに、と心の中で続ける。


「そっかぁ、同い年か。淳とは同じ会社?」

はい、と頷くと、彼は驚いたことを口にした。


「ふうん、じゃあまだ付き合ってそんなに経ってないね?」

……付き合って?


何の疑問も持たずそう問いかける廣田さん。そこで気が付いた。彼は勘違いしているのだ。


両手を顔の前でブンブンと振り、違います、と答えると、彼は不思議そうな表情を浮かべた。


「私、伊東くんの彼女じゃないです。」

「えっ、そうなの?」


勢いよく頷く私に、廣田さんは更に驚いたような顔をする。

……まさかこんなにびっくりされるとは。




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