初恋は雪に包まれて
席に着き早々に注文を終えると、で?、と私を促す。
「何があったのよ、大体想像はついてるけど。」
「多分、当たってると思う……。」
元々勘のいい夕ちゃんだ。きっと私がどんなことを考えているかなんて、手にとるようにわかるのだと思う。
心配しているような、でもどこか楽しんでいるような夕ちゃんの顔をもう一度見ると、私は意を決して口を開いた。
この間の休み。……伊東くんと一日過ごした日。
廣田さんの店を出て少しのやりとりをした後、家に帰るべく歩き出した私たちの間に会話はほとんどなかった。
お互い口を開かずに歩く。辺りは静まりかえっていた。
普段の私なら戸惑うであろう静けさも、何故か彼となら反対に居心地が良いほどだった。
お互い何も喋らない、だけど手はしっかりと離されないでいて。なんだか不思議な気分だったのを覚えている。
「伊東くんって、」
そんな沈黙を破ったのは、意外にも私の方だった。