初恋は雪に包まれて


「日和?ちょっと。」

午後七時前。午後の勤務が終わり片付けをしていると、そう声をかけられる。

……なるほど。彼女が女王様の称されたのが、少しわかる気がする。

だって、鋭い目線で私を呼び寄せる彼女の姿はまさに女王様だ。……こんなことを言ったら怒られるだろうけど。


あの後、早足で二人を追いかけると、二人は歩道を少し行った場所で私を待っていてくれた。

一人で現れた私を不思議そうに見る二人に、説明をする。そして、今度は三人で歩き出したのだった。



「どうしたの?夕ちゃん。」

「今日のあの子誰なのよ。」

「あの子?」

誰だろう、と考える私に、あの赤いダッフルコートの子、と続ける。

「あぁ、楓ちゃん?」

「何者なのよ。」


何者もなにも、伊東くんのいとこだ。そう伝えると彼女は腕を組む。

ふうん、と相槌をうつ彼女は何かを考えている様子だった。


「あの子さぁ、絶対伊東くんのこと好きだよねぇ。」

「……やっぱりそう思う?」



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