初恋は雪に包まれて
結ばれる
土曜日の午後。午前のみの勤務を終え、そのまま電車を乗り継ぎ都心部へとやってきた。
そびえ立つ背の高いビルは見上げるのも一苦労なほどだ。
休日ということで人も多い。この頃どんよりとしていた天気が一転し、青空が広がっていることも関係しているのだろう。
前々から行ってみようと思っていたカフェでランチを済ませた後、駅から直通で行くことの出来る大型ファッションビルへと向かう。
若者に人気のブランドが多く入っているビルの中は、やはり人でいっぱいだ。
人混みを縫うように歩き、お目当てのフロアへたどり着いたところで、息をはぁ、と吐く。
……人に溺れてしまいそうだ。
元々人混みがあまり得意ではないため、もう抜け出してしまいたいという気持ちをなんとか堪え、あるショップを目指す。
「……あった。」
小さな黒板にチョークで書かれたmimiという文字。
和雑貨をメインとして取り扱っているここは、つい最近この地方に初めて出店したことで話題を呼んでいる。