初恋は雪に包まれて
十代の若者からビジネスマンまで、幅広い層に人気のこの外資系コーヒーショップは、やはり混んでいる。
休日ということもあってほとんどの席が埋まるなか、なんとかちょうど席を立つ人たちと入れ替わりで座ることができた。
そこで向かい合い、私はカフェラテを、彼女はカフェモカをちびちびと無言で飲む。
ショップ内は会話が飛び交い、自分の声さえも聞きとりにくいような状況の中、無言で向かい合う私たちは異様な雰囲気を放っているだろう。
何故こんなことになったかというと。
「気安く呼ばないでもらえます?」と、ぴしゃりと言われた後。
あの可愛らしい彼女からは想像もつかないような鋭い声に驚き、唖然としてしまった私を彼女は鼻で笑った。
その姿に更に丸くさせて驚いていると、彼女が口を開いた。
「これから時間あります?」
「えっ……時間、うん、あるよ。」
「ちょっとお話ししましょ。」
あぁ、きっとこれは楽しいお話じゃない、とは思ったもののついていかないわけにはいかず、そうしてここへとたどり着いたのだ。