初恋は雪に包まれて
私、小さな頃からずっと淳ちゃんが好きだったんです。
そうゆっくりと話し出した彼女に耳を傾ける。
マグカップを見つめたままそう話す彼女は、前に見た天真爛漫さは感じられない。
「血がつながってるとか、関係無かった。実際いとこでも結婚が出来ないわけじゃないし。」
視線を私から外し、こちらを見ようとはしない。
「知ってますか?」
「えっ?」
再び視線が合う。真ん丸な瞳は伊東くんを見つめていたあの可愛らしい印象を忘れてしまうほどの鋭さがある。
テーブルに肘を付き、顎を支える彼女は更に続ける。
「淳ちゃんが今まで付き合った人って、みーんな綺麗なお姉さんだったんですよ。」
「背が高くてスラッとしてて、モデルさんみたいな人ばっかりで。」
「だから私、あぁ淳ちゃんにはこんな風にならなきゃ釣り合わないんだって思ってたのに。」
背もたれに体を預け、腕を組む。そして呆れたように続けた。
「なのに、こんなちんちくりんなのが良いなんてさ。」