月光-ゲッコウ-
* * *
目が覚めると、社長の腕が絡みついていた。
良かった…社長は寝てる。
起こさない様に絡みつく腕をほどいた。
とりあえずずシャワー浴びたい。
重たい身体を引きずりながら、バスルームに行ってシャワーを浴びた。
昨日は色んな事がありすぎた。
加雁さんに突然キスされたり
社長に車の中で押し倒されて…
このホテルに連れてこられて…
目が覚めた社長はいつもの社長だろうか?
そうであって欲しい…
〔私の子を生め。〕
ふいにその言葉を思いだした。
身体が震える。
あたしはそんな形を望んでいない。
愛してもない人の子供を生み、一生日陰である妾でいるなんて…
使い捨ての愛人でいい。
一生そばにいても愛ゎ薄れるだけだもの。
どうか、あの言葉があの時だけの感情であります様に。
「ん…ち…とせ??」
社長が少し身体を起こして呟いた。
『すみません。起こしてしまいましたか?』
直ぐ様声をかけると、社長は首をふった。