月光-ゲッコウ-



「昨夜はすまないね。少し酔っていた様だ。」


ほっ…


その社長の言葉にホッとした。


酔っていたから、あんな事をしたんですよね。


安心したあたしは、社長にバスローブを手渡した。


『シャワーいかれますか??今、浴槽にお湯を…』


言い掛けたところで、腕を引っ張られベッドへと倒れこんだ。


え?


「嘘ではないよ。」


な、なにが?


あたしは不安な顔で社長の顔を見た。


社長は微笑むと、あたしの頬をなでた。


「私は酔っていて、乱暴に抱いてしまった事を謝っている。千歳に言った事に嘘や勢いはない。」 


言った事に嘘や勢いはない??


そ、それは…




やっぱりあたしに…子供を…



生め…と…?


一生


傍にいろと…?




「湯槽にはつからなぃから、溜めなくてもいい。自宅に帰ると言ってしまっていたから、早く自宅に帰らねば家内(アレ)がうるさい。」

ベッドに倒れたままのあたしをそのままにして、社長はバスルームへと行った。


あたしはまた意識が朦朧としはじめた。



多くの愛人を持つ社長だもの


ほかの愛人にもそんな風に言っているに違いない。


そう、


ただ甘い言葉を囁いてるのと一緒。


自分の愛人(獲物)が誰かに捕られそうになって、ムキになってるんだ




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