月光-ゲッコウ-
3.有明月



あたしは家に帰ると、何よりも先にベッドへと倒れた。


今日が休日で良かった。


急に疲労感に教われる。



「にゃあん」


少し目をつむった所で、邪魔をされた。


『ムーン…ごめんね。お腹すいてるよね。』


あたしは重い身体を起こすと、キッチンへと行った。


ムーンはソマリという種類の猫で、あたしの唯一の癒し。



あたしが餌の準備をしているのを、じっと見つめて待っている。


餌を器に出すと、待っていましたといわんばかりに餌にありついた。


そんな姿が愛しくて、頭を数回なでる。


餌に夢中で、相手にしてくれそうもなぃ。



あたしはムーンから離れて、リビングからベランダへと出た。



まだ少し、空は暗い。



月が


白い



タバコを取り出して、火をつける。


ベランダから部屋の中を覗くと、まだ一生懸命に餌を食べるムーンが見える。



この部屋はあたしとムーンだけでは広い。


でも、その無駄な空間が好き。



この部屋は社長からの初めてのプレゼントだった。




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