月光-ゲッコウ-
そして1年後の今から3年前、大学卒業間近。
卒論も無事に終わり、今の会社に就職先も決まり、春になれば結納と、いろいろ決まっていた。
その日は付き合って5年2ヶ月の記念日だった。
彼の好きなロールキャベツを作って、あたしは彼が来るのを待っていた。
だけどいくら待っても、彼はこなかった。
何度連絡してもつながらない。
あたしはきっと何か理由があるんだと、彼からの連絡を待った。
彼からの連絡が来たのは、それから1週間後だった。
〔この前はごめん。明日、千歳の実家に親と行くから、千歳も実家にいてくれ。〕
実家に親と行くなんて、結納の事なんだとあたしは思って、この1週間の音信不通など、忘れさって喜んだ。
翌日、彼が似合うと言ってくれた、お気に入りのワンピースを来て、実家へと向かった。