月光-ゲッコウ-
「はははっ。やっぱり千歳はこっちのが俺の方が好きか?」
はぁ?
さっそく呼び捨て!?
変わり過ぎっ!
『好きとか嫌いとかありませんっ。ただ、疲れるだけです。』
あたしがそう言うと、また笑う。
この人、相当あたしをバカにしてるんだな。
あたしが何か言うたびに笑う。
何がおかしいのよっ!?
あたしがムスっとして、料理を食べると、加雁さんは前に身を乗り出して言った。
「じゃー千歳もその敬語やめろ。千歳も本当の千歳でいい。」
あたしもぉ〜!?
まぁでも、気を使わなくて良さそうだ。
好都合。
さっきの話をちゃんと断ろう。
あたしはワインをくっと飲みほすと、口を開いた。
『あたしはあなたのモノになるつもりはないし、今日限りでこんな風に会うつもりはないの。あたしは小田切社長の愛人ですから!』
「でも、小田切社長を愛してる訳じゃないんだろ?」
どきっ。