月光-ゲッコウ-


例えるならば、社長はお殿様なのだ。


何人もいる側室(愛人)。


正室(妻)への愛はとうの昔にさめた。


あたしはそのお殿様の1番のお気に入りなのだ。



「いくらこの手に抱いても、千歳は飽きないな。
ずっと私のモノでいてくれよ。
悪い様にはしない。」


事が終わりシャワーを浴びて出てきた社長は、あたしの頬に手を滑らせながら呟いた。


『…はい。』


いくら1番のお気に入りといえど、ずっとなど…永遠などはない。

社長が奥様への愛がさめて、今はあたしにご執心の様に



人の心など変わるのだ。



今まで社長の愛人第一位に3年間もいたのは、あたし1人。


けれどあたしはもう25歳だ。


あと何年…この地位でいれるだろうか。


もっとお金を貯めなければ…。


1人で生きて行ける様に…。


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