月光-ゲッコウ-
けれど、戸惑いはあった。
愛人というモノでさえ、ょくわからなかった。
ただ、社長のいう通りにしていけばいいのだろうか?
あたしは、これで間違ってはいないだろうか?
そう、だから次の日。
なんだか1人で飲みたい気分だった。
暗闇が襲いかかってくる、不安に耐えきれなくて…。
六本木のジュエルに何時間居ただろう。
酔いが回って来た頃に、少し離れた隣に男の人が来た。
なんでかわからないケド、酔ってたせいもある。
声をかけてしまったんだ。
『あのココいいですか?』
その男性は少し驚いた顔をしたけれど、「どうぞ。」と言ってくれた。
「ずいぶん…酔ってるみたいだけど…」
座ってすぐに、その彼に言われた。
『いろいろあって…なんかわかんなくて。普段はこんな声かけたりもしないんですよ。なんだか寂しいのかなぁ…声かけちゃいました。ははっ。』
あたしが言うと、彼は少し悲しい顔で微笑んだ。
「俺で良かったら聞くよ。知らないもの同士なわけだし、逆に言える事もある。溜まってるモノ吐き出せば?その変わり俺の話も聞いて。」
そういって彼はブランデーの入ったりグラスを、あたしの方に差し出した。
知らないもの同士。
そんな関係があたしには、なんだか心地よく感じた。
どうせ、今日限り
この時限りの人…
彼のグラスに自分のグラスを重ねると、一気に飲み干した。
ここからあたしの記憶は途切れる。
だだ、その人に婚約破棄や愛人になった事
あたしの事を洗いざらい話した気がする。
だけどその人の顔は…