月光-ゲッコウ-
「《少なくともあたしは彼をずっと愛し続ける自信はあったもの。だから、あなたをずっと愛して支えてくれる人はいる》そう、千歳は言って俺を励ましたんだよ。」
あたしがそんな事を…。
確かに辛い…
ずっと1人で生きてく事は、寂しさとの戦い。
だから選んだ愛人。
お金も入る、寂しさも埋められる。
でも誰のモノでもない、そんな愛人という位置があたしにはぴったりだったから…
「そう言われて、女遊びはやめたんだ。俺をずっと愛し支えてくれるそんなヤツを探す事にした。けど、千歳の三日月のネックレスをみるたび千歳を思い出すんだ」
あたしは自分の首に着いている三日月のネックレスに目をやった。
あたしを?
「誰かを一生愛し続ける自信があったって言いきった…俺を励まして助けてくれた。気がついたら、1度しか会ってない千歳が気になってしょうがなくなってた。」
今まで切ない顔をしていた加雁さんの顔が、優しく微笑んだ。
あたしに触れていた手を離して、グラスを持つと一口飲み、あたしに次会うまでの話をしはじめた。