月光-ゲッコウ-



まずあたしが社長の秘書で愛人という情報を知っていたから、秘書を調べた。


かと言って、このへんに何人もいる社長と秘書


社員情報を知るのは難しい。


そう簡単には調べられなかった。


そしたら偶然あの日、小田切社長といるあたしを見つけた。


たまたま小田切社長と知り合いだった加雁さんは、小田切社長に話かけて、あたしとの食事までありつけた。


「まさか小田切社長だったとはな。正直、複雑だったよ。俺も世話になった人だし。けど、千歳と会えて今こうしてんのは、社長のおかげだ。」



あたしは社長と加雁さんと、初めて食事した時の事を思い出した。


加雁さんと2人きりになって、突然キスされで…


あっ…!

〔やっと見つけた!〕


そういえば、あの時加雁さんはそう言ってた。


今になってその言葉を理解した。


「あの時は見つけられた嬉しさで、気持ちが抑えきれなくてなッ」


頭をかきながら、少し照れた様に加雁さんは言った。

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