月光-ｹﾞｯｺｳ-

そ…んな…


嘘でしょ？


社長が嘘ついてるのよね？


「信用できないなら、今から自分の目で確かめればいい。」


社長に手を取られて、医者の所へ行く。


しばらく待つと名前を呼ばれて入った。


「新堂千歳さん。もう気分は大丈夫ですか？」


優しく問われうなずく。


聞かなきゃ。

でも、怖くて聞けない。


あたしの不安そうな顔を見ると、にっこり笑って言った。


「それと…気づいていらっしゃらなかったみたいですが、妊娠されてますよ。」



ッ！


嘘ぉ…でしょ？


社長の行ってた事は本当だったの？


動揺が隠しきれないまま、医者に促されて、エコーで確認する。


あっ…


「この小さい点が赤ちゃんですよ。」



あ…かちゃん…


紛れもない事実。


嘘だと信じたかった。


なんでこんな時に…


どうして…