月光-ゲッコウ-
診察を終えて出ると、社長が待っていた。
すぐあたしに近寄ると、腰に手をまわして支えて歩く。
「さぁ、帰ろう。」
だめだ…身体に力が入らない。
何も考えれない。
どうしたらいいのかわからない。
加雁さんのとこへ行きたいのに…
これでは行けない
涙が流れた。
今は社長の言う通りにしか出来ない自分がもどかしい…
社長と迎えに来ていた車に乗る。
身体がぐったりとしてしまって、自然に社長にもたれかかる様になる。
そうだ…この車の中で社長とした日以来
避妊をしてるの…見た記憶がない。
これは社長が望んだ事だ…
いや…自分自身にも責任がある
まさか本当にこうなるなんて…
まさか
あたしが…
「今日からは私の別宅に住むといい。ムーンも後で私がつれてくる。身体を大事にしなさい。」
別宅?
そんなッ
それはいやッ
だけど、声にだせない。
もう、気力がない。
気がつくと、社長の別宅へと着いた。