月光-ゲッコウ-



診察を終えて出ると、社長が待っていた。


すぐあたしに近寄ると、腰に手をまわして支えて歩く。

「さぁ、帰ろう。」


だめだ…身体に力が入らない。


何も考えれない。


どうしたらいいのかわからない。


加雁さんのとこへ行きたいのに…


これでは行けない



涙が流れた。



今は社長の言う通りにしか出来ない自分がもどかしい…




社長と迎えに来ていた車に乗る。


身体がぐったりとしてしまって、自然に社長にもたれかかる様になる。



そうだ…この車の中で社長とした日以来


避妊をしてるの…見た記憶がない。




これは社長が望んだ事だ…


いや…自分自身にも責任がある


まさか本当にこうなるなんて…


まさか


あたしが…


「今日からは私の別宅に住むといい。ムーンも後で私がつれてくる。身体を大事にしなさい。」



別宅?


そんなッ


それはいやッ


だけど、声にだせない。



もう、気力がない。





気がつくと、社長の別宅へと着いた。



< 62 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop